地球創成と元素組成
現在の宇宙論によると,最も軽い元素である水素(H)と次に軽いヘリウム(He)がまず生まれた。ヘリウムはその後にできた恒星の内部での核融合反応によってさらに増加し,あとにつづく原子核の連鎖反応の中でベリリウム(Be),炭素(C),酸素(O),窒素(N)などの重い元素へと変化した。一連の元素の合成過程の中で,ヘリウムが不安定なベリリウムを経て炭素になる反応は確率的に低く,非常に微妙なエネルギー状態に左右されて起こるらしい(
グラフ参照)。偶然にも炭素への反応が進んだ結果として,太陽系に地球という重い元素からなる岩石の惑星が生まれたのである。
地表付近の地殻で天然に存在する元素は90種余りあり,その存在量は酸素(O)50%→ケイ素(Si)20%→アルミニウム(Al)10%→鉄(Fe)1〜5%…の順位になっている。一方,生物が採用した元素(生元素)は30〜40種で,ヒトの場合(乾燥重量%),炭素(C)48.5%→酸素(O)23.7%→窒素(N)12.9%→水素(H)6.6%→カルシウム(Ca)3.5%→イオウ(S)1.6%=リン(P)1.6%…と
続き,上記した7種を合計すると98%以上になり,上位の4種だけでも90%以上になる。その中でも炭素は全体量の半分近くを占め,生体の材料としていかに重要であるかがわかる。宇宙の偶然がつくり出した炭素は生命誕生にとって不可欠な元素だったのである。 |