生物進化とは
− 展望 −
生物進化とは,時と共に絶えず変化する地球環境を席巻する旅であり,そこには生物が,地球の様々な時空(海,陸,空)と接点を保ちながら,新たな発想を生み出す姿が見えてくる。 たとえば, @ 太陽光→シアノバクテリアの光合成。 A O2→ミトコンドリアの祖先の酸素呼吸。 B 海中→無重量における多細胞生物の三次元化。 C 淡水→脊椎動物の背骨。 D 陸上の重力→植物の細胞壁,動物の外骨格と内骨格の発達。 E 空中→植物の花粉,昆虫の翅,鳥の羽。 生物は,40億年近い歳月を費やし,地球のもつあらゆる環境に対応できる能力を身につけた。細胞から成る小さなボディー空間が,地球全体と共有できる時空をもったとも言えるだろう。もちろん1種類の生物では対応できなく,生物は多様化し,それぞれの種類が地球の時空を分担して共有する方法を採った。つまり,生物の歴史は,種類が多様化する旅でもある。結果として,地球上には異なる時空をもつ多種多様な生物が共存することになった。 一方,多様化した生物は,互いに生存競争をしながら,生物全体を一つの強力なネットワークで結んだ。それが,生物の種類間で部分的に時空を共有する「共生」である。共生による進化(共進化)が起こることによって生物は互いに協力しあい,さらなる繁栄を成し遂げたのである。 地球と生物との間,生物と生物との間には時空の接点があり,地球を中心として,時空で結ばれたもう一つの世界が存在する。時空を操る生物の世界は,“小宇宙”と呼ぶにふさわしい。生命は無重量(水中)で誕生し,重力(陸上)を克服し,今まさに無重力の“大宇宙”へ旅立とうとしている。 |