繊 毛

 繊毛(cilium,複数形cilia)は,色々な種類の細胞表面に生えており,ほ

とんどの動物種,多くの原生動物,一部の植物に見られる。構造的には,微小

管の
束からなる直径約0.25µmの毛のような突起物で,横断面でみると,1

対の微小管が中央にあり,その周りを9対の二連微小管が取り巻いている。こ

の構造を9+2の配列といい,原生動物からヒトに至る真核生物の繊毛と鞭毛

に共通な特徴である
(下図)。                             




 主な機能としては,原生動物の水中遊泳に使われたり,ヒトの気管の上皮細

では細菌を含むほこりの粒や死細胞などを粘液とともに喉まで運んでくれた

り,
輸卵管の上皮細胞では卵を移動させるのに役立っている。また,精子の運

も繊毛の一種である鞭毛によって行われる。ただ,原核生物の細菌類の繊

毛(鞭毛)は同じ機能でも異なる構造をもつ。