電子伝達系

 

 解糖系とクエン酸回路で脱水素されたは,水素受容体の補酵素(NADとFAD)によって
ミトコンドリアの内膜にある電子伝達系へ運ばれ,最終的にと結合してになる(下
図)
。実際の反応では,その名が示すように,Hは水素イオン(H)と電子(e)とに分かれ
て伝達されている。
この伝達系で多量のATPが生成される。
 

 

 電子伝達系では,NADに水素が渡された場合2Hが酸化されてHOになるごとに3分子
のATP
が生成される。また,FADに水素が渡された場合には2Hが酸化されるごとに2分子
のATP
が生成される。従って,解糖系からの2NADH(ミトコンドリアに運ばれ,2FADH
となる)と,クエン酸回路からの8NADH2FADHによって生成されるATPは,それぞれ
4ATP,24ATP,4ATPとなり,32分子のATPになる。このようなOによるリン酸化は,
細胞質基質でのリン酸化反応と区別され,酸化的リン酸化と呼ばれる。

 酸化的リン酸化以外でのATPは,前述のように,解糖系で2ATP,クエン酸回路で2ATP
なので,好気呼吸の全過程では,グルコース1モルの分解によって合計36分子のATP
生成されることになる
(下表参照)