ま と め

 

 好気呼吸におけるグルコースの分解過程は,次のような模式図反応式でまとめること
ができる。それにしても,
一時も休まず息をして肺で取り入れたOが,全身の細胞内のミト
コンドリア
に送られていたとは驚きである。数分間息を止めると死ぬことから,ミトコンドリア
でのエネルギー産生がいかに大切であるかがわかる。

12 + 6O + 6HO → 6CO + 12HO + 36ATP

 ATP→ADPの加水分解で放出されるエネルギーは7.3kcalなので,グルコース1モル
(180g)
の分解で蓄えられるエネルギー量は,7.3×36ATP≒263kcalになる。例とし
て,お茶碗約1杯分のご飯で得られるエネルギー量である。一方,
グルコース1モルを完全
に酸化させた場合,
約688kcalのエネルギーが解放される。従って,好気呼吸のエネルギ
ー効率は
263÷688×100≒38.2%であり,残りは熱エネルギーとして放散される。
の値はエネルギー効率としては極めて高い。

 炭水化物以外では,脂肪は重要なエネルギー源であり,タンパク質も余剰があればエネ
ルギー源として利用される。
脂肪とタンパク質の詳細な分解過程は省略するが,分解された
物質は
下図の反応経路で好気呼吸に組み込まれ,グルコースの場合と同様にATPが生成
される。