セントラルドグマと遺伝情報量
<セントラルドグマ>
遺伝情報は常にDNA→RNA→タンパク質と伝達され,タンパク質から核酸の方向へ逆 行することはない。この遺伝情報の流れは,全生物に共通して成り立つものとして,セントラ ルドグマ(中心命題,中心教義など)と呼ばれる。生物がもつ遺伝情報は,セントラルドグマ に従って情報発現され,結果としてタンパク質合成を支配している。........................................... |
セントラルドグマの模式図
*逆転写は特殊なRNAウイルス(レトロウイルス)等に限られる。
<遺伝情報量>
真核生物では,DNA上にある一つの遺伝子は 特定の一つのタンパク質合成を支配すると考えら れており,これを1遺伝子ー1タンパク質(酵素)説 という。生体内のタンパク質分子を構成するアミノ 酸を平均400個と仮定すると,1遺伝子は約120 0個の塩基配列からなる情報とみることができる。 例えばヒトゲノムの場合,DNAはおよそ30億塩基 対あり,計算上では数百万の遺伝子数になる。し かし実際には,機能していないDNA領域がほとん どであり,遺伝情報としての遺伝子数は3万余りと いわれる。実にDNA全体の98%以上が使われて いなく,その理由は今のところ不明である。現在, ヒトゲノムは99%解析済みで,まもなくその全貌 が明らかになるであろう。. .......................................... ヒトのDNA量を他の生物のDNA量と比較してみ ると,最も進化した生物と自負するヒトが必ずしも 多量のDNAをもっているわけでもない(右表)。....... ちなみに,ヒトとチンパンジーとはDNAの塩基配列 がわずか1%違うだけらしい。この違いが知能の発 達と関連しているはずである。....................................... |