ミ ト コ ン ド リ ア

 ミトコンドリア(mitochondria:複数形)は,細胞種により,様々な外部形

態(球状,楕円状,桿状)と大きさ(長径0.4〜10µm,短径0.3〜0.8µ

m)を呈し,細胞当たりの数も数百〜数千個と一定していない。ミトコンドリア

真核生物特有の細胞小器官であり,原核生物ではみられない。       

 基本構造は外膜と内膜の二重膜からなり,内膜の一部がクリステとして,

トリクス(基質)に向かって突出している。マトリクスには,ミトコンドリア固有の

顆粒,DNA,リボソーム,tRNA,呼吸系の酵素が含まれている。またクリステ

にも呼吸に関与する各種酵素群が存在する。                   
 

 

 機能としては,生命活動に必要な大半のエネルギーを好気呼吸で産生して

いる。マトリクスでは,クエン酸回路(クレブス回路)の酵素反応によって脱水素

が起こり,内膜では,その水素を電子(水素)伝達系を通過させることによって

多量のATPが合成されている。そして水素は酸素と反応して水となり排出され

る。                                             

 動物細胞では,ミトコンドリアは核以外でDNAを含む唯一の細胞小器官

あり,そのDNAを複製しながら自己増殖する。ミトコンドリアDNAと,それから

合成されるRNA・タンパク質は原核生物のものと類似することから,その起源

をある種の細菌がかって細胞内共生したとする説が有力である。