細 胞 の 構 成 元 素

 

 生物圏となる地殻では,天然に存在する元素は90種余りあり,その存在量は

酸素(O)→ケイ素(Si)→アルミニウム(Al)→鉄(Fe)・・・の順位になっている。

 一方,生物体を構成する元素(生元素)は30〜40種で,量的順位は,ヒトの

場合,炭素(C)→酸素(O)→窒素(N)→水素(H)→カルシウム(Ca)→イオウ

(S)=リン(P)・・・となり(下図参照),この順位は動物種によって大きく変わらな

い。従って生物体が利用している元素は地殻に多量にある元素と必ずしも一致

しない。ヒトが採用した元素の中で上位7種を合計すると98%以上になり,その

中でも炭素は全体量の半分近くを占め,生体の材料としていかに重要であるか

がわかる。

 炭素は原子価4(結合する手を4ヶもつ)の元素で互いに結合して長い鎖状分

子となり,残りの手で他の元素と結合して高分子化合物をつくることができる。

また,分解されると二酸化炭素(CO)などの気体水に溶ける炭素塩となり,

生物間の物質の循環に適した元素でもある。地球上の生物は,Cを中心にO,

N,H等が結合した有機化合物で成り立つ,いわゆる「炭素骨格の生物」なので

ある。多細胞生物を構成する元素は平均化すると,細胞の構成元素とみなす

ことができる。

+O+N+H・・・ → 有機化合物 → 細胞,生物体