炭 水 化 物 (糖 質)

 

 炭水化物(HO)の一般式で表され,CにHとOが水の割合で含まれる

のが多いことからこの名がある。水の比率にならない糖もあることから,最近では

糖質と呼ぶ傾向が強い。いずれにせよ,直接・間接の主要エネルギー源として,

また,核酸や糖タンパク・糖脂質などの構成成分として不可欠な物質である。炭

水化物(糖質)は,単糖少糖(オリゴ糖)多糖に大別される。

 

<1>単 糖

 単糖はそれ以上加水分解されない糖の基本単位で,分子内に含まれる炭素数によって,三炭糖(トリオース),四炭糖(テトロース),五炭糖(ペントース),六炭糖(ヘキソース)などがある。なかでも五炭糖六炭糖が重要である。これらの糖では不斉炭素による立体異性体(D型・L型)があり,また,水溶液中では鎖状より環状構造になり,さらに2種類の立体異性体(α型・β型)を生ずる。

@五炭糖の例


         10)       (10
   ATPやRNAの一成分           DNAの一成分

A六炭糖(12)の例

 

<2>少 糖(オリゴ糖)

 2〜6分子の単糖がグルコシド結合したものを少糖というが,2分子が脱水縮合した二糖が最も多い。重要な二糖に,マルトース(グルコース+グルコース)スクロース(グルコース+フルクトース)ラクトース(ガラクトース+グルコース)がある。

二糖(122211)の例


水飴の成分                                         砂糖の成分


  母乳の成分

 

<3>多 糖

 多糖は多数の単糖が脱水縮合してつながったものをいう。ここでは一般式が(C10)nで示されるデンプンセルロース(植物)グリコーゲン(動物)について解説する。

@デンプン

 植物の貯蔵栄養物質であるデンプンはアミロースアミロペクチン混合物からできている。アミロースはD-グルコースα-1,4結合でつながった長い鎖状構造をしている。アミロペクチンは,上記のα-1,4結合のほかに,ところどころにα-1,6結合による枝分かれ構造を含んでいる。デンプンはアミラーゼによって大部分加水分解される。


                 アミロース(α-1,4結合)


            アミロペクチン(α-1,4結合+some α-1,6結合)

 

Aセルロース

 植物の細胞壁成分であるセルロースはD-グルコースからなるが,デンプンと異なり,β-1,4結合でつながった長い鎖状構造をしている。このためアミラーゼでは加水分解できなく,ほとんどの動物は栄養源として利用できない。


                     セルロース(β-1,4結合)

 

Bグリコーゲン

 動物の貯蔵栄養物質であるグリコーゲンは主に肝臓や筋肉の細胞に含まれている。グリコーゲンの分子構造はアミロペクチンと同様であるがα-1,6結合による枝分かれがより多く含まれている。