白 血 球 型 抗 原(HLA)
白血球の膜表面には,赤血球型抗原もあるが,それとは別にHLA(Hu man Leukocyte Antigens)という白血球特有の抗原が存在している。 HLA型は現在まで200 種以上見つかっており(下表に一部例),今 もって増加の一途にある。 そして抗原の遺伝子は すべて第6染色体の短 腕に集中している。 |
HLA-A | HLA-B | HLA-C | HLA-DR | HLA-DQ | HLA-DP |
HLA-A1 | HLA-B5 | HLA-Cw1 | HLA-DR1 | HLA-DQw1 | HLA-DPw1 |
HLA-A2 | HLA-B7 | HLA-Cw2 | HLA-DR2 | HLA-DQw2 | HLA-DPw2 |
HLA-A3 | HLA-B8 | HLA-Cw3 | HLA-DR3 | HLA-DQw3 | HLA-DPw3 |
HLA-A9 | HLA-B12 | HLA-Cw4 | HLA-DR4 | HLA-DQw4 | HLA-DPw4 |
HLA-A10 | HLA-B13 | HLA-Cw5 | HLA-DR5 | HLA-DQw5 | HLA-DPw5 |
HLA-A11 など50種 |
HLA-B14 など97種 |
HLA-Cw6 など34種 |
HLA-DR6 など22種 |
HLA-DQw6 など9種 |
HLA-DPw6 など67種 |
*この他にHLA−Gなども発見されている。
HLAは個体間で多型を示し,自己と非自己を厳密に識別する目印にな っている。自己のもつHLAの型に合わないものはすべて異物と認識され 排除される。いわゆるリンパ球による免疫応答が起こる。つまり,各人の ボディーは遺伝的に固有のHLAをもとに非自己を識別し,あらゆる病原 体の感染から身を守っている。また,HLAはヒト主要組織適合性抗原と も呼ばれ,臓器移植の際,強力な移植抗原となり免疫応答を引き起こす。 もしHLAの型を無視して他人の臓器を移植すれば,確実に拒否され,移 植は失敗する。移植の成功にはなによりもまずHLAの型を合わせること が重要である。赤の他人からの臓器移植でHLA型が一致する確率は,臓 器の種類にもよるが数万〜10万人に一人と言われる。血縁関係者の間で は当然ながらこの確率が高くなり,同じ両親から生まれた兄弟間ではほぼ 四人に一人の確率になる。生体からの移植が可能な臓器(肝臓,腎臓骨髄 など)の場合に,患者の親や兄弟がドナーになるのはそのためである。 ただHLAは赤血球表面にはない。それで輸血は臓器移植と異なる側面 をもつ。 |