鳥 の 例
一夫一妻制の交尾
一夫一妻制の場合,
まず特定の配偶者を捜す必要がある。
鳥類では♂に
もある程度の選択権があるが,
多くの場合♀が最終的に♂を選んでいる。
鳥の交尾は不安定で,♀はお尻を少し動かすだけで♂を拒否できるからで
ある。それでは♀はどのようにして最良の♂を決めているのであろうか。
これまでの研究成果によると,種類によって,身体的特徴を中心に様々な
判定基準がある
ことがわかってきている。種類によって特定の判定基準が
進化した理由については,♀の好みと,♂の遺伝的素質の観点から今後明
らかにされるであろう。
@
尾羽根が長い♂(例:テンニンチョウ,ツバメ)
A
尾羽根(上尾筒)が大きくて美しい♂(例:クジャク)
B
求愛のさえずりが上手な♂(例:オオルリなどのヒタキ類)
C
上記以外の♂の基準として,年齢,体の大小,求愛ダンスの
上手さ,巣の出来映え,テリトリーの広さ,子育ての能力な
どが重要な決めてになる。
ところで最近の報告によると,一夫一妻制にもかかわらず,かなりの♀
が浮気をして他の♂の子を産み,夫婦の子と一緒に育てていることがわか
ってきた。しかも親子間のDNA鑑定の結果では,♀は浮気の相手として
判定基準で順位の高い♂を選ぶ場合が多いという。ひょっとすると♀は,
♂の順位はやや低いが,若くて子育てに精を出す相手を選んでつがいにな
り,その一方で浮気によって,より上位の♂の子も残している可能性があ
る。
鳥の♀におけるしたたかな配偶戦略は人間社会でもなかなか真似が出
来ないのでは…?