長野のベッカーの庭では,ヒオドシチョウは春によく見かける蝶であるが,今春,自宅近くの河川敷公園にいるのをはじめて見つけた。先輩に聞いてもはじめてだという。翅に全く傷がなくきれいで,人を見ても逃げないことから,羽化して間もないように思えた。
 この蝶は雌雄同色で,翅の裏側が黒褐色で目立たなく,翅を開くと鮮やかな紋様にビックリする。中でも前・後翅の末端にみられる青色の縞模様はこの蝶の識別に欠かせない。また,独特な黄褐色の地色は,緋縅の鎧に由来する色と言われ,名前の由来になっている。
 なぜこの蝶が岐阜の低湿地にいるのかは分からないが,昨夏の日照りの後,この公園の植生が全く変わってしまい,そのあとに入ってきた可能性がある。